為替の基本を絵解きでわかりやすく解説した、入門者向けの本。円ドル相場を動かす要因にはどのようなものがあるのか、為替相場に関与しているのは誰なのか、それぞれがどんな利害関係をもっていて、どんな考えをもって動いているのか、といったことが、過去の事例や身近な話題を用いて説明されている。その中には、デリバティブを駆使して為替相場に絶大な影響を与えるヘッジファンドや機関投資家なども登場する。一般投資家にとっては絶対に無視できないこれらのアクターが何を指標に、どのような考えで動くのかを示している点は参考になるだろう。また、市場原理だけでは説明できない中央銀行の介入の動きや日米外交などについてもわかりやすく説明されており、日ごろどんなニュースに注意すればいいのかが一目瞭然だ。 本書は、すでに外貨の売買を開始している人にとっても基本を確認するのに有用である。また、過去30年間(1972年〜2001年)の為替の動きを示したグラフは、売り時、買い時を見定める際の参考になるだろう。(土井英司)
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